誰が使うの?から考えたアクセシビリティの必要性

はじめに

はじめまして、テクノロジー本部ITエンジニア部の手塚と申します。 アジャイルトレーニングを受講して知った「誰がチームのプロダクトを使うのだろう?何が好きなどんな人だろうか?」(ペルソナと共感マップ)で考えた顧客像の認識合わせと機能の差別化を図るためのアクセシビリティ(※機能の利用しやすさ)について、書いていきたいと思います。


「誰が使うの?」

「誰がチームのプロダクトを使うのだろう?」を考えるときは、プロダクトの全体像を掴んでチームの認識を合わせた上で、「ペルソナ」と「共感マップ」を作成していきます。

ペルソナとは:
ペルソナとは典型的なユーザー像を反映した1人の仮想の人間です。開発・デザイン・プロダクトマネージメントチームはペルソナを実在の人物のように感じなければいけません。ペルソナはプロフィール(顔写真、氏名、年齢、性別、家族構成、職業、年収、ライフスタイル等)を設定することでより人間らしくなります。ライフスタイルではペルソナの行動要因を予測できることが大切です。

プロジェクトメンバーが目的・ゴールに対して共通認識を持つことが重要です。

[作成例]

共感マップとは:
ペルソナとして仮定した顧客像が普段どのような環境に身を置き、その中でどんな感情を抱いているかを理解するために使われます。共感マップはペルソナをより深く理解するためのフレームワークです。

  • 見ているもの
  • 聞いていること
  • 考えていること・感じていること(価値観・考え方)
  • 言っていること・していること

価値観・考え方では、購買意欲・興味の対象といった心理的側面をもとにターゲットを分類することができ、「商品をなぜ購入するのか」にスポットを当てられるようになります。 課題・ニーズ(ペイン&ゲイン) では、「潜在的なニーズを満たしたり、 潜在的な課題を解決したり」する「What?」をより細かくしていき、明確にしたいところです。

【作成例】 [引用先・出典]参考(※共感マップの6つの基本要素)

上記だけでは、製品やサービスの利用しやすさ、使い勝手というユーザーにとって大事な「品質」(アクセシビリティ)が抜けている可能性があります。
そこで次の章から、誰が使うの?で考えて必要とされるアクセシビリティ(品質=機能の利用しやすさ)を具体的にどう作成すべきか、重要なポイントとメリットについてまとめていきたいと思います。

アクセシビリティを確保することによって、どのようなメリットがあるのか?

1.より多くのユーザーが利用できる
Webコンテンツを利用するときのユーザーの「○○できない」、「○○しづらい」が解消されることにより、より多くのユーザーがより快適に利用できるようになります。アクセシビリティの基準を検討するにあたって、ユーザー想定をしておくとスムーズです。ユーザー想定からサービスに求めるものを考えることで、アクセシビリティが向上し、多種多様なユーザーの利用環境をより多くサポートすることができます。 ユーザー想定はたとえば、以下のようなことが考えられるのではないでしょうか。

対象:

  • さまざまな支援技術を使用している障害のある方
  • 加齢により視覚や聴覚などの能力が低下している中高年やシニアの方
  • 一時的に普段とは異なる状況で利用しなければならない方

2.場面や状況を選ばず、より快適な体験を提供できる
スマートフォンやタブレット端末の普及により、Webコンテンツは場所を選ばずに利用できるようになりました。それによって、ユーザーの利用シーンも多様化しています。アクセシビリティを確保することによって、ユーザーが利用したいときに、より快適に利用しやすくなります。

3.ユーザーがよりよい印象を持つ
もう何年も前の話ですが、「あ、この瞬間が○○○だね」というクルマのテレビCMがありました。ユーザーにとって重要なのは、快適に利用できるかどうかです。ユーザーはアクセシビリティが確保されているかどうかは意識していません。
もともと、アクセシビリティが確保されているかどうかは、見た目ではよくわからないものです。
しかし、アクセシビリティを確保することによってユーザビリティも向上し、結果としてそれがユーザーの満足度を高めることになり、ユーザーはより良い印象を抱くようになります。

誰が使うの?から考えたアクセシビリティの重要なポイント

アジャイルトレーニングを通して、誰が使うの?から考えたアクセシビリティの必要性で感じたことを紹介します。
まず、アクセシビリティの検討でインセプションデッキの「夜も眠れなくなるような問題」でディスカッションを行います。「夜も眠れなくなるような問題」をメンバーそれぞれがMiroを使って挙げていきました。
そこで挙げた付箋を、解決する価値が高いものと低いものとで分けました。
すると、たとえば「競合他社との差別化」や「機能が多すぎて使いこなせていない人も多い」という課題があがります。
この検討の機会がなければ気づかなかったリスクもありましたし、課題「アクセシビリティ強化はやっぱりやっていかないといけないな」という再認識もできました。
以下は、実際に出た解決する価値が高めのものの例です。

このテーマについて議論して何がよかったかというと、普段みんなが気になっていたことを話す機会があったことです。例えば「ルールが多すぎて嫌になる人がいるよね」という共通理解が得られます、「でもそれって優先して片付けたいものではないよね」という理解が得られます。
こういったやり取りは、単にメッセージを伝え合うコミュニケーションではなく、「感動や沈黙を含んだ奥深いコミュニケーション」です。このコミュニケーションが、競合他社との差別化、顧客(ユーザー)のニーズへの新しい接近可能性(アクセシビリティ)を生み出し、人と人の新たな関係性を作ります。
参考(※関連ブログ:「インセプションデッキとその重要性について」)

まとめ

色々と記載させて頂きましたが、夜も眠れなくなるような問題の結果の学びから考えたアクセシビリティの必要性について重要なことは、

  • アクセシビリティを確保することによって、より多くのユーザーが利用できる
  • 「夜も眠れない問題」についてのディスカッションの効果によって、アクセシビリティ(品質)が向上する

だと思います。
スクラムを取り入れ始めた頃はうまくできないことも多く、どうすればいいのかわからないことも多いかと思いますが、最初からうまくいかないのは当たり前です。諦めず日々の積み重ねが必要かと思います。
私は、日々の積み重ねの中で、アクセシビリティを検討することによって、チーム内のコミュニケーションUp、ユーザーにとってのアクセシビリティが向上する!という気づきを得ることができました。 アジャイルトレーニングを通して、企画面だけでなく開発面でもアジャイルについてより多くのことを学ぶことができました。そのお陰で、プロセスへの理解を深め、仕事に活用し始めています。