終わりのない旅 ”Agile ジャーニー”

はじめに

テクノロジー本部の松下です。 前職では Agile 開発プロジェクトの PM として開発の end-to-end を見てきました。顧客と一緒にデザイン思考のワークショップでサービスや価値を探求したり、顧客開発チームへのコーチング等を経て、現在エムティーアイでは Agile プロセス改善、チーム育成、コンサルタント、PM を担当しています。

2021 年 12 月からエムティーアイの Agile トレーニングに参加する機会をいただきました。
日々試行錯誤しながら Agile 手法で開発に取り組んでいるトレーニング仲間達と交わした意見は貴重な財産となりました。 また、コーチの説明のおかげで今まで誤って理解していた知識を修正でき、担当プロジェクトに導入しなおして改善につなげることができました。

そしてこの 6 ヵ月間のトレーニングを通じて、自分達が取り組んでいる Agile は 常に進化し続ける終わりのない旅 なのだなと改めて再認識することができました。

FAKE Agile な現場

これまで多くの顧客や開発チームと一緒に Scrum や Kanban などの Agile 手法を採用してきましたが、Agile 手法で開発しているように見えるけれど、実際は FAKE Agile (なんちゃってAgile) な現場をいくつか見てきました。 たとえば、

  • 製品全体のドキュメントがないから、 プロジェクトを開始できない
  • PM がチームに仕事を割り当てる
  • 壁中に付箋紙が貼ってあるけど、何が最重要なのかわからない
  • 製品を改善するのは開発チームだから、ステークホルダーの意見やフィードバックは最低限しか受け入れない
  • スプリントごとにリリースをしないで、プロジェクト終盤にまとめてリリースする

開発チームは、なぜ自分たちがこのような状態なのかを考え、課題を見つけ、改善・学習していました。とりわけ、より素早く改善していったチームは、現場レベルだけでなく彼らと共に歩む リーダーが自ら変わり成長していった組織でした。 強い信念をもってチームを Agile ジャーニーに導くリーダーです。

さて、リーダーとはどのような人々なのでしょうか?

Who Wants to Lead the Change?

Agile リーダーはチームのお手本

リーダーはいわゆる管理職の人々を指しているのではありません。Agile 原則 を心から理解し、言葉だけでなく行動で示す先生のような存在です。

Agile 手法では、迅速に、安く、失敗し、成長し続ける、を奨励していますが、Agility (迅速性) のあるリーダーには、なによりも成長思考が欠かせません。
誰かに賞賛されるために学ぶのではなくて、新しいことを理解し、そしてそこからもっと先に進みたいという情熱を持っているからです。成長思考の強いリーダーは固定概念にとらわれず、たとえ挑戦したことが失敗したとしても成長する過程の通過点と前向きに考えられます。問題が大きくなるまで静観せず、積極的に問題解決に取り組み、その経験から学んだことを新たな成果につなげるチャンスに変えられるのです。

成長思考と固定思考

このようなリーダーの姿を近くで見ることほどチームを勇気づけるものはありません。 お手本となるリーダー達の意識と行動が変わることで、チームのマインドセットも大きく変わります。信頼尊敬協力する関係性がうまれ、活発なコミュニケーション透明性、そして個々のメンバーが目標に対してコミットするようになります。個人の変化が相互に作用して大きな力を生み出します。 Agile 開発中のチームの混乱や変化をサポートしながら、障害や無駄を取り除く手伝いをするリーダーはチームとともに成長し続けます。

組織がやらないといけないこと

しかし残念ながら Agile は奇跡をおこす特効薬ではないし、リーダーやチームメンバーも魔法使いでもありません。 成長思考の高いAgileリーダーとそのリーダーを信頼する Agile チームがいても、組織が Agile ジャーニーとその参加者をサポートする枠組みづくりを率先しないと変革は確かなものにはなりません。

組織で長年親しまれていた文化や培われた DNA が変わることを恐れず、継続的に改善し、人材に投資する、そしてなによりも変革するための目的を正しく理解し目的がもたらす価値を水晶のようにクリアにすることが最重要な課題です。

組織がAgile ジャーニーを導入、支援するには、

  • 変革の目的とその結果の価値 (目標) を明確にする
  • 組織の文化を優先的に変化させる
  • 変化に伴う混乱をリーダー、Agile コーチがサポートし受け入れる
  • Agile をサポートする枠組みを作る
  • コーチングやフィードバックによる人材開発と学びの機会を作る
  • 上記すべてにおいて継続的な改善

が欠かせません。

ジャーニーは常に続く

個人が、リーダーが、そして組織が Agile をやりたいと望むとき Agile ジャーニー成功への第一歩がはじまります。 誰かに命令されてやる Agile ジャーニーは決して成功しません。目標のため、あるいは誰かのためにという強い意思がないと継続しないからです。

  • Agile 手法を導入するときプロセスや技法に偏りがちだけど、考え方を変えることから始めよう
  • お手本になる先生を見つけよう
  • 失敗を恐れず、成長するチャンスと受け入れ前に進もう

はじまりは小さくても、励まし合い、助け合う中での対話や学びが刺激となり、さらに大きなエネルギーとなってジャーニーを後押ししてくれます。

今回わたしはトレーニングという学びの時間に恵まれました。コーチが私たちのために調査、準備して教授して下さったことに感謝しています。また、受講仲間たちの意欲的な姿勢を忘れずに、私自身も積極的に学び続けようと思っています。

Agile ジャーニーは前を向いて一歩ずつ進む、終わりのない旅です。
一緒に楽しみましょう!

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