はじめに
テクノロジー本部の星です。普段はSREとしてMicrosoft Azureの運用や構築などをやっています。2025-05-18~24で米国はSeattleで行われるMicrosoftの年次開発者会議のMS Buildに参加してきました。今年も去年に引き続いてAIです。その一方で今回のキーワードはAI Agent、私なりに解釈すると単なるModelを超えてTaskをこなすようになった同僚(Copilot)でした。*1基調講演内に流れた動画でも農業らしき場面や電気工事のような場面があり、数年来にはソフトウェア開発に限らず実世界上で同僚のように振る舞うのかもしれませんね。
他、衝撃を受けたことと言えば、Azure AI FoundryによるModelのFine Tuning~デプロイの部分でした。私は学生時代機械学習(Python+PyTorch, GPU ServerにSSHでログインしてDocker+Docker Composeで…といった環境)をやっており、それはもう基盤モデルの選択から追加学習やらでハラハラしながら数日間みたいな学習でした。ほんの数年前ではちょっと追加で学習するにも一苦労だったのを覚えています。ポチポチっとマウスで操作するだけでそのへんが一瞬で完了するのにはびっくりです。
この記事では現地セッションの紹介、ほか来年参加される方に向けて当日の注意をちょっと書きます。
Keynote等のアーカイブ → https://news.microsoft.com/build-2025/
現地セッションの一部紹介
セッションのうち、録画されず対話的に行われるLabを中心にとっていました。ここではLABから2つ紹介します。
まずその前にLABについて説明します。LABは事前に予約が必要で、後述するLAB346のように人気のものは前週には埋まるほどでした。会場にはモニターに繋がれたSurfaceが置かれており(さすがは天下のMicrosoftですね!)PCを持っていく必要はありません。むしろ構築済みの仮想環境を用いるため、基本的には設置されたSurfaceの利用が想定されていました。
仮想環境はブラウザ上で動作しており、入力したいコマンドはフォーカスした箇所にワンクリックで自動で入力されます。Azure CLIの長いオプション、k8sの長いコマンドも自動でミスなく入力されるので、大変良い体験でした。さすがです。
難易度はMS Buildのナンバリングとしては1xxがFoundation, 2xxがIntermediate, 3xxがAdvancedとのことですが、3xxをいきなりやってもなんとかなるくらい親切でわかりやすいものでした。
Ethical Hacking with AKS: Hands-On Attack and Defense Strategies(LAB346)
こちらは名前の通り、日本で言うところのWhite HackingをAKS環境に対して行ったり、防御したりするワークショップです。GitHub上にサンプルコードが公開されています*2。
いわゆるCTFのように、configから認証に使う文字列を探して管理画面に接続、それでSQLインジェクションやらOSコマンドインジェクションを試していきます。このワークショップではCryptominer攻撃が目標で、不正なContainer, ClusterをデプロイすぐのがRedの目標、Blueはその削除や無効化です。
Red1 → それを防御するBlue1 → … Blue3まで徐々にセキュアにしながら3段階やるものでした。ビットコインマイニングをAKSでやるってテーマがいいですね。 特に、Blueのシナリオ2でAzure Portal上のEntraID integrationを使ってローカルの管理者アカウントを無効化するという行為は私が普段Azureの運用で行なっている行為が実際の攻撃(防御)の場面でどのように機能するか理解できて学びがありました。
Agentic AI Inferencing with Azure Container Apps(LAB341)
Azure AI Foundryで提供されるmodelをExcelファイルやPDFのコンテクストを与えることでカスタムして、その編集したAI AppをAzure Container Appsを用いてデプロイするものでした。
ワークショップを通して追加学習&デプロイが驚くほど簡単にできました。私が業務で関わっているプロダクトは10年近い歴史があるので、過去の仕様書やドキュメントなんかはたくさんあり、ちょっと過去の事例を探すとなるとドキュメントを全部読む必要がありました。プロダクトの開発・運用・企画チームで使えるようにしたらめちゃくちゃ便利かもしれないですね。ぜひ利用したいところです。
ほか一般的な話
知っておくとちょっとお得なtipsを少しだけ載せます
- PCは無くてもなんとかなります。むしろ持っていくとConvention Centerに出入りする度にある手荷物検査が面倒なのでおすすめしません。
- Convention Center(Arch)前のDog in the Park*3はおいしいです。私のおすすめはChicago Dog(シンプルな味付けなので)。
- 滞在1日目は時差ボケ対策のため着いたらすぐコーヒー飲んで、21:00ぐらいまでは頑張って起きましょう。
最後にChicago Dogの写真を載せます。美味しそうでしょう?ぜひ食べてみてください!
*1:Agentic DevOpsの今後の開発ロードマップはMicrosoft DevBlogが詳しいです。Agentic DevOps in action: Reimagining every phase of the developer lifecycle - Microsoft for Developers