DroidKaigi 2025 参加レポート

こんにちは、アプリ開発支援部の涌井、タンです。
先日、DroidKaigi 2025 に参加してきましたので、その内容をレポートします。

目次

DroidKaigi の概要

DroidKaigi とは?

DroidKaigi はエンジニアが主役の Android カンファレンスです。
Android 技術情報の共有とコミュニケーションを目的に開催されているそうです。
公式サイト:DroidKaigi 2025

会場

ベルサール渋谷ガーデン

開催日時

9月10日〜9月12日

主な参加者

8割を超える人が Android 開発者またはモバイルアプリ開発者だったようです。
私が参加した実感でも、Android 開発者がほとんどを占めているような感覚でした。
参考:DroidKaigi 2025 来場者アンケート結果まとめ – Kotlin・IDE・AIツールの利用状況

会場の様子

コンテンツ

1日目(9月10日): ワークショップ

2、3日目(9月11日、12日): 最新の Android 技術・事例紹介のセッション

イベントの特徴

この DroidKaigi の特徴として、コミュニティ交流が充実していることがあります。
ミートアップや会場ツアーが企画されているイベントは、他ではあまりない印象があります。
ミートアップは、特定のテーマに沿って机に集まり、昼ごはんを食べながら話すというものでした。
私は1日目の昼に「首都圏以外から参加」のテーマに参加し、2日目の夕方に「AI 活用」のテーマに参加しました。
さまざまな会社の方と交流することができて、知見を得ることができました。
なかなか自分から話しかけたり交流できない人でも、こういう企画に意識的に参加することで、交流の機会を得ることができます。

また、企業ブースを回るとスタンプラリーができることや、ネイル体験、コーヒーなどのドリンク、お菓子などが充実していました。
Android初心者でも楽しめるような配慮がされているのが嬉しかったです。

Fireside Chat では、DroidKaigi で行われている取り組みが運営から紹介されるセッションでした。 なかでも「Diversity, Equity & Inclusion (DEI)」の取り組みが特に印象的でした。
また、食事が充実しており、昼食や「After Party」での食事がとても豪華でした。

運営のサポートも手厚く、セッション前には登壇者をアテンドして看板を持ちながらブースを回ったり、ヘアメイクをしてもらえたり、通訳との打ち合わせもサポートしてくれるようです。
セッションに応募する前にミートアップを開いてくれるなど、登壇者への支援が充実していました。

ダイバーシティへの取り組み

DroidKaigi のダイバーシティへの取り組みについて紹介します。
こうした取り組みは、他のカンファレンスと比べても非常に充実していると感じます。
DEIを重視しており、以下のような取り組みがされていました。

  • 名札・シールによる交流促進
  • Tシャツのサイズ展開 (こどもサイズもスタンプラリーの景品に)
  • スカラーシップ制度 (学生支援)
  • ヴィーガン・ハラール対応の昼食
  • 英語・日本語の通訳対応

参加した経緯

モバイルアプリ開発者としての知識を増やしたり、業務上でのモバイルアプリ開発に活かしたりすることを目的として、DroidKaigi に参加しました。

セッション

涌井、タンそれぞれが印象に残ったセッションを概要、感想とともに紹介します。
なお、セッションそれぞれの概要については、DroidKaigi 2025 のタイムテーブルよりご確認いただけます。

Building cross-platform apps in Kotlin with Compose Multiplatform

概要
Kotlin Multiplatform と Compose Multiplatform を利用してクロスプラットフォームアプリを構築する方法を学ぶワークショップです。
講義自体は全て英語で、講師は JetBrains の方でした。
日本語でのサポートや日本語訳の資料があるため、英語に不安がある方でも気軽に参加できる環境が整っています。
事前に環境構築(Android Studio の導入)・サンプルプロジェクトのクローンが必要でしたが、こちらもスムーズに行えました。

内容

  • Kotlin Multiplatform の解説
  • クイズ (以下のコードはここから呼べる?) 以下のようなクイズが出ました。 問題例:commonMainで、val x = ConcurrentHashMap<Int,Int>()は呼び出せるか? 回答:java.util.concurrent 内の API のため、呼べない
  • Compose Multiplatform の解説 (UI・使用しているアプリ・デモ)
  • アーキテクチャの解説
  • 全体通して Task (簡単な実装)をこなす

作成物
ハウスキーパーアプリと Storage機能を試すアプリを作成しました。

学び・感想
以下、涌井の感想です。

Kotlin はアプリ開発支援部の研修で使用した以来久しぶりで不安でしたが、サポートも多かったのと、AI を活用することでスムーズにワークショップに参加できました。
全て英語でのワークショップも不安でしたが、サポーターの方による日本語対応があり、資料も日本語訳されているため、ある程度資料を参照して予測で説明の内容を理解することができました。
同じ机の人たちと交流したり、助け合ったりしながらワークショップに参加することができました。
KMP は聞いたことがあるだけで、どういうものかあまり知らなかったのですが、このワークショップで概要を掴むことができました。
Kotlin のコードのみで iOS、Web、Android、Desktop アプリなどを作れるのは、本当に便利だと感じました。

以下、タンの感想です。

Kotlin に触れるのは1年半ぶりで、実務で Compose を使った経験もなかったので、 正直、少し心配していました。
しかし、実際に手を動かして感動したのが、共通モジュールでの expect/actual の使い方です。これのおかげで、プラットフォームに依存する処理が驚くほど簡単に実装できます。この設計思想に大きな可能性を感じました。

意外と知らない Android と Google Play の世界

概要
以下についての内容を紹介するセッションでした。

  • 実はあまり知られていない取り組み
    • 強固なセキュリティ (Play Integrity API、Play Protect 等)
    • 厳格なアプリ審査 (AIと人によるレビューがあること)
  • ユーザーと開発者双方の保護と信頼性向上
    • 日本のマーケットユーズに沿ったポリシーやプロダクトの改善事例
    • 日本独自機能 (コミックスペースなど)の導入
    • 日本発での機能・ポリシー改善 (定期購入の締切表示、オンラインクレーンゲームなど)
  • ぜひ活用いただきたい機能
    • 各種ウェビナーやヘルプコミュニティ、ニュースレターで情報提供があることの紹介
    • 公開管理機能や課金テストツールの便利機能があることの紹介

資料
※このセッションは、録音・録画禁止で、YouTubeへの公開もなかったため、以下の資料はタイムテーブルのURLとなります。
意外と知らない Android と Google Play の世界

学び・感想
以下、涌井の感想です。

私自身は、あまり Google Play コンソールを直接使うことは多くありませんが、実務に役立つ情報をいくつも知ることができて勉強になりました。
Google Play が、ユーザー・開発者相互により良いプラットフォームにできるようにさまざまな取り組みをしていることを知ることができました。
ポリシーを日本独自に先行導入したりしていることも知らなかったですし、「ぜひ活用いただきたい機能」のところで紹介されていた公開管理機能や、課金テストの機能はとても便利だと思いました。
Google Play PolicyBytes ウェビナーや Google Developers Japanの X を積極的にチェックしていきたいです。

「どこから読む?」コードとカルチャーに最速で馴染むための実践ガイド〜新メンバーを活躍に導くオンボーディング戦略〜

概要
新卒1年目エンジニアの実体験に基づくオンボーディング戦略を解説するセッションです。 「参加する側」のリアルな視点で、以下のような内容を紹介していました。

  • 巨大なコードの読み解き方
  • 技術スタック理解のコツ
  • 実際にあって助かったサポート

このセッションでは、Android以外にも応用できる内容が紹介されています。
特に、新メンバーを迎える側の人に見て欲しいセッションです。

資料

speakerdeck.com

YouTube: https://youtu.be/d1Y2VSIs-4U

学び・感想
以下、涌井の感想です。

私も昨年に現在のプロジェクトに配属された「新メンバー」の立場だったので、共感することが多くありました。
オンボーディングについては、実際に自分が「唯一の読者」であり「レビュワー」だと再認識しました。
改めて、オンボーディングは継続的な改善が必要だと思いました。
現時点では新メンバーを迎える予定はありませんが、いずれ自分も既存メンバーとして新しい方をサポートする立場になると思うので、そのときは今回学んだことを活用できるよう心掛けたいです。

Kotlin での AI 活用による開発

概要
本セッションは、 JetBrains の Sebastian Aigner 氏と Márton Braun 氏による 「Kotlin における AI 活用」に関する講演です。内容は大きく二部構成となっていました。
開発者向け AI ツールリング: Kotlin 開発者が日々の業務で AI を活用し、生産性を向上させる方法(JetBrains AI Assistant やコーディングエージェントの紹介)について解説しています。
Kotlin による AI パワードアプリケーションの構築: アプリケーション自体に AI 機能を組み込む方法、特に JetBrains が開発したエージェントフレームワーク「Koog」を用いた、複雑なエージェントワークフローの構築方法を解説しています。

資料

PDF: https://droidkaigi.github.io/ssot-api/slides/droidkaigi2025/989391_building_with_ai_in_kotlin.pdf

YouTube: https://youtu.be/uoy0p3vSdcg?si=2eTIhHMKe-w2n8zk

学び・感想
以下、タンの感想です。

JetBrains のNext Edit Suggestions (NES) がコード全体の関連変更を自動で提案してくれるだけでなく、AI エージェントの Junieは高レベルな指示だけでコード分析、編集、検証を自律的にエンドツーエンドで完了させる能力に驚きました。Kotlin が単なる開発言語の枠を超え、現在の AI のプレイグラウンド(最前線)に本格参上したことを痛感しました。特に Android 開発者にとって、これは強力な武器になるでしょう。

共有と分離 ─ Compose Multiplatform “本番導入” の設計指針

概要
Kotlin Multiplatform (KMP) および Compose Multiplatform (CMP) を実際のプロダクトに導入する際、「どこまで共有し、どこを分離(切り分け)て設計・実装すべきか」という課題に対する具体的な指針を、STORES のモバイルオーダー向け「キッチンディスプレイ」アプリの開発事例を通じて解説しています。

資料

speakerdeck.com

YouTube: https://youtu.be/xEYD-Sq4oNU?si=sq6tuqEi032kI7To

学び・感想
以下、タンの感想です。

KMP/CMP が本番導入で91.5%のコード共有を実現した事例に驚愕しました。
ロジックに加え UI も高い水準で共有可能だとわかりました。
Expect・Actualを使いこなせば、Android 開発者でも iOS、Desktop などのプラットフォームのアプリを開発することができると確信しました。
DI を用いたネイティブ SDK 連携など、分離の引き出しも増え、マルチプラットフォーム開発が一気に現実的になりました。

スポンサーブース・ノベルティ

スポンサー企業のブースが多数ありました。
ブースでは様々なノベルティをいただいたり、お話を聞くことができました。
なお、このスポンサーブースを回ると、スタンプラリーができ、貯めると以下のようなノベルティをいただくことができました。

懇親会

懇親会では、写真のような食事や、飲み物を飲みながら、交流を深めることができました。
マグロの解体ショーがサプライズであり、美味しいマグロのお刺身やお寿司を食べることができました。

感想

以下は、涌井の感想です。

コンテンツが充実していて、色々な方と関わったりでき、その中で学びになったことが多かったです。 運営によるサポートや交流、ブースや食事も充実していて、とても楽しく過ごすことができました。 刺激的で学びが多いイベントで、技術以外にも、コミュニティや働き方について知ることができてよかったです。

以下は、タンの感想です。

気になるセッションが多すぎて、『ナ◯トの多重影分身の術を持っていれば...』と本気で思いました。セッション選びは本当に大変でした。
今回は1年半ぶりに Kotlin を触ったのですが、ブースの KMP を活用したアプリやコードチャレンジコーナーのおかげで、Kotlin や Android 開発への情熱が再燃しました

おわりに

以上、DroidKaigi 2025 の参加レポートでした。

全体通して、Android や Kotlin などの知見だけでなく、交流も行うことができ、とても有意義な3日間となりました。
来年も開催されましたら、ぜひまた参加したいです。
改めて、DroidKaigi のスタッフの皆様、各スポンサー企業様、ありがとうございました。