自己管理型チームについて

はじめに

はじめまして。ソラミチシステムのシウェイと申します。新卒2年目です。ソラミチという電子薬歴システムの営業支援を担当しています。初めてのブログ投稿ですので、拙いところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事はアジャイルコーチの雨宮さんが実施したトレーニングを受けて、自分が気になったトピック―自己管理型チームについてまとめたものになります。自己管理型の定義、特徴から、築き方まで話させていただきます。

自己管理型チームとは?

・定義

自己管理型チーム(セルフマネージング)とは、作業を成し遂げるための最善の策(誰が、いつ、どのように、何の作業をするか)を、チーム外からの指示ではなく、自分たちで選択するチームのことです。個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つチームを作り出します。

・経緯

スクラムガイド2017では開発チームの「自己組織化 (Self-organized)」 を説いていましたが、2020ではスクラムチームの「自己管理型 (Self-managed)」に変わりました。
スクラムガイド2017までは、開発チームは自己組織化しており、「誰が」「どのように」作業するかを選択できるとしていたが、2020 年版では「開発者の自己組織化」よりも「スクラムチームの自己管理」に重点を置くようになり、「誰が」「どのように」「何の」作業をするかを選択できるように変更しました。 スクラムガイド2020では「何の」が増えました。単純に考えて、チームが持つ裁量が強調されたことになります。チームは自分たちで目標達成のための方法を考え、決定し、こなしていくということです。これを実現するにはスクラムチームに適切に権限が移譲されている必要があります。適切に権限が与えられていれば、自己管理型のチームは複雑で予測不可能な状況に対しても適応がスムーズに行えると考えられます。

自己管理型チームの特徴は?

自己管理型チームの特徴は、下記3つのポイントにまとめます。

  • チームメンバーが自分たちでチーム内の規範やルールを決めて、それに従って責任を持って行動する
  • 誰からも指示されることなく、自分からタスクを取りに行く
  • チームは積極的にPOに疑問を投げかけ、自らも提案する

自己管理型チームはどのように築くか? 

自己管理型チームを作るには、チームビルディングが不可欠です。チームとして一体感をもって一つのゴールに向かうための活動として、期待マネジメントチームルール作りがあります。

・期待マネジメント

① 外側の期待

外側の期待とは、プロジェクトのコアメンバーだけでなく、関係者全員が抱いている期待を指す。インセプションデッキを使って、外側の期待をWhy(なぜ取り組むのか)とHow(どうやって実現するのか)で明確にできます。

  1. ミッションや目的の共有
  2. スコープ内、スコープ外の境界の明確化
  3. 品質、予算、納期、スコープの優先順位付け
  4. リスクや不安のリストアップ
② 内側の期待

内側の期待とは、チーム内でお互いにメンバーに対して抱いている期待を指す。ドラッカー風エクササイズを使って、それぞれが抱く期待を明確にします。
メンバーがそれぞれ、下記4点について考えを述べることにより、お互いの期待値のすり合わせや役割分担が明確にします。

  1. 自分は何が得意なのか?
  2. 自分はどうやって貢献するつもりか?
  3. 自分が大切に思う価値は何か?
  4. チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
③ R&Rの明確化

R&R(Roles & Responsibilities: 役割と責任)を定義することで、メンバー同士が互いに期待する役割と責任が明確になると、プロジェクトも進めやすくなります。大枠のところで合意できてもタスクレベルで曖昧さが残ると、後々メンバーの関係性に影響が出ることがあります。下図のRACIチャートのように、やるべきことと担当を明文化することで、認識のずれをなくすことができます。

④ スキルの可視化

各メンバーの適材適所を見出し、コミュニケーションを円滑化することで、チームの関係性を向上させる。スキルマップ(星取表)を使用します。

・チームルール

チームが円滑にプロジェクトを遂行するためには、チームビルディングの一環として予めチームのルールをまとめておく必要があります。チーム内にルールが存在しないと、たちまちカオスな状態で仕事をすることになり、チームメンバーのモチベーション低下を招き、チームの生産性に影響を及ぼすことになります。開発スプリントに入る前には、以下の取り決めをしておくと良いです。

① チームの約束(ワーキングアグリーメント)

チームとしてまとまるための取り決めであり、「私たちはチームとしてこうやって作業したい」という宣言を言語化したものです。周りが強制するものではなく、チームメンバーが議論して納得の上で決めるルールや約束事です。どんなチームを目指しているかを言葉に表すことになりますし、これから参画するメンバーにとってはチームメンバーとして求められる条件を明示するツールになります。

② チームが大事にすること(シェアードバリュー)

チームとしての想いや価値観、大切にしたいことを表したものです。 「チームの約束(ワーキングアグリーメント)」とも似ていますが、特定なルールより、感覚的なものになります。シェアードバリューは組織の文化形成に欠かせないことです。

③ Ready/Doneの定義

プロダクトバックログアイテム(PBI)やストーリーに対して、開始条件として「Ready」、完了条件として「Done」を定義します。Ready/DoneはPBIごとに個別に定義する必要がありますが、ここでは共通の定義を行います。

最後に

この記事では、自己管理型チームについて紹介しました。
チーム外からの指示ではなく、自らタスクを選択する方法で作業を進めていく自己管理型チームは、チームルールをきちんと決めて、期待をすり合わせたほうがいいです。自律性が高いからこそ、チームの価値観、目標などを一致させる必要があります。
自己管理型チームは、チームメンバーに権限を与えることで、チームのパフォーマンス向上につながります。また、常に成長できるチームとして、世の中の変化に適応する必要があります。一方、自己管理型チームは一朝一夕では作り上げることはできません。同じ目標に向かって意識を統一させた上で、チームメンバー一人ひとりが積極的に協力し合うことが求められます。
今回、約半年間アジャイルトレーニングを受講し、アジャイルについての知識を深めました。普段は営業支援の仕事を行っており、実践できるチャンスがまだありませんので、アジャイルに関する理解はまだ理論上にとどまっておりますが、今後アジャイル開発にかかわる機会がありましたら、こちらで学んだ知識を実践で運用できることを期待します。

画像出典、参考

https://green-and-greed.com/2020/05/18/kaizen-jani/