はじめに
はじめまして。ルナルナ事業部の植野と申します。新卒で入社してもうすぐ 1 年半が経とうとしています。現在はルナルナの姉妹サービスである「ルナルナベビー」の企画とPOを担当しております。この記事は約半年間、社内向けにアジャイルコーチの雨宮さんが実施したアジャイルトレーニングを受けて、 自分の担当しているPO業務に関してまとめたものとなります。
目次
PO(プロダクトオーナー)とは
プロダクトの所有者であり、顧客の意思の代表者。プロダクトを成功させるためにスクラムチームを正しい方向に先導し、開発チームと企画者とコミュニケーションをとりながら、生み出されるプロダクトの価値を最大化させていく、いわば舵取りの役割を担います。そのために、プロダクトオーナーは常にプロダクトビジョンを念頭におき、プロダクトバックログ管理、および関係者とのコミュニケーションが必須となります。
POの役割
ここでは私が実際にPO業務を行う中で必要なタスクと役割についてご説明したいと思います。POの役割は主にスクラムイベントでの役割とそれ以外での役割に大きく分けられるため、この2つで大別し記載しております。チームによっては多少異なるタスクがあると思いますので、あくまでも私のチームでのPOの役割としてご参考にしていただければ幸いです。
スクラムイベントでの役割
1.1 スプリントプランニング
- スプリントゴールの設定
- Ready/Doneの定義の確認
- PBI(プロダクトバックログアイテム)のポイント確認
- PBIの並び替え(優先順位付け)
1.2 デイリースクラム
- 開発の進捗の確認
- 遅れが生じている場合はその理由と対応を確認
1.3 スプリントレビュー
- 受け入れ基準(AC)を確認し、チケットの受け入れを行う
- Doneコンデイションを満たしていることを確認
- PBIのステータスをDoneに変更する
- Doneを満たせなかったチケットに関しては、残作業用のチケットを新規で作成する
1.4 スプリントレトロスペクティブ
- スプリント中にやってよかったこと(Keep)と課題(Problem)をチームと共有する
- 課題に対しての次スプリント以降の対応(Try)をチームと話し合う
1.5 プロダクトバックログリファインメント
- プロダクトバックログの見直し、チームへの仕様の説明
- PBIの追加、変更、削除
- Ready/Doneの定義
- ACの確認
- PBIの見積もり依頼
スクラムイベント以外での役割
2.1 プロジェクトプランニング
- プロダクトの要求整理
- チケット管理(PBIとEpic/Featureの紐づけ)
- ワイヤーフレームの作成
- 必要に応じた仕様書の翻訳(オフショア向け)
- デザイン相談、依頼
2.2 インセプションデッキ
- プロダクトの背景、目的、ゴールの確認
- インセプションデッキ前半資料の作成
- 案件ゴールや要求などを開発チームとデザイナーに共有
- 実現方法の確認
2.3 リリース対応
[開発前]
- リリーススコープの決定
- リリーススケジュールの決定
[開発後]
- リリース判定会議の実施
- リリースの実施
- リリース後の動作確認
- サービスイン報告、リリース報告
2.4 フィードバック・戦略の共有
- 目標達成結果、及び施策の効果の資料作成
- 会議を設定し、チームへ施策の実施結果を共有(モチベーションのアップ)
- ビジネスサイドの戦略、目標の共有
2.5 障害対応
- 障害状況の確認(問題の再現や影響するユーザー数の確認)
- 開発チームへの共有
障害に対する原因調査
POとしての必要なスキル
ここでは私がPO業務を行うにあたり、POとして重要なスキルを記載しております。人によって必要なスキルは異なるかと思いますが、私が個人的に必要だと思うスキルを挙げさせていただきます。
コミュニケーション
チームメンバーとのコミュニケーションスキルは、プロジェクトが成功するために最も重要なスキルだと考えます。チームは共通の目標を達成するために協力しなければならなく、チーム内の全員がオープンで効果的にコミュニケーションをすることが重要です。POは、ビジネス側のビジョンを理解し、実現するために開発チームを動かす必要があります。そのため、それぞれの立場を理解したコミュニケーション能力が必須であると考えられます。
ビジョナリー
コミュニケーションに関連して、POは開発向けに管理する小さなプロダクトバックログ(PBL)と大きなビジネス目標を明確に伝える必要があります。POはプロダクトビジョンを見失わずにチームの舵取りをすることが求められ、また、プロダクトビジョンを実現するまで、事業の戦略や顧客のニーズとも調整しながら進める必要もあるため、プロダクトの方向性がずれているときは修正することになります。
ITリテラシー
顧客が抱える課題解決を図るためには、開発や製品に関する幅広い知識が必要になります。限られたリソースを最大限に活かし、顧客の求めるソリューションを提供しなければいけないので、代替案を提示したり、開発と効率的にコミュニケーションを取らないといけないからです。
リーダーシップ(発言力・決断力・推進力)
POは本当に要求がニーズを満たしているのかを適切に判断し、時には人と異なる意見であっても、正しいことをやるべきという発言や決断が求められます。なぜ、そういう結論に至ったのか根拠をビジネス側に説明し、必要に応じて代替案を提示し説得することも求められます。また、開発チームの進捗も随時確認し、遅れが出ている場合や遅れの原因が明確でない場合はしっかりとチームに問題提起をしチームの道筋を修正していく必要があります。
今までのPO業務における問題点と対応
新卒として入社後、半年ほどでPO業務を引き継ぎ担当することになりました。担当することになったチームはベトナム開発チームであり、英語でのコミュニケーションに加え、ベトナムチームとのオフショア開発を進める中で具体的に苦労した問題点とそれに対して行った対応を共有させて頂きます。
POの基礎的知識
[直面した問題点、苦労した点]
POとして最低限知っておくべき、アジャイル開発の基本やPOタスクなどの知識が全くなかったため、どのように始めていけばいいかわからず、業務に支障が出ておりました。
[対処法]
基本的には本や研修(今回受けた研修など)から学び、事業部やチーム独特の形式や癖に関しては、随時ミーティングを設け、担当者から説明いただくことで理解を進めました。また、タスク進捗表を作成することで、どのPO業務までは習得し、次スプリントでは特にどのタスクに注力して取り組むかを決め業務にあたったため自分の進捗が確認でき、より明確な理解を深めることができました。
英語でのコミュニケーション
[直面した問題点、苦労した点]
私の担当のチームは全員ベトナム人であり、やり取りはすべて英語で行う必要がありました。しかし、基礎的な英語のスキルが足りていなかったため、開発への施策説明や日々のコミュニケーションに障害が出ていました。また、異なった理解をしてしまうことで対応が遅れることが発生していました。
[対処法]
リスニングスキルとスピーキングスキルを向上させるため英会話の研修を行い、チームとはチャットベースでの会話から始めることを心掛けました。加えて、前担当者からPOが開発説明等でよく使う言いまわしや、わかりやすい表現等を教えてもらうことで、定型文を基盤とした会話をスクラムイベントでは使用し、会話の障害からスクラムイベントで解決できなかったことに関しては誤認識を防ぐため、ノートを作成してもらうことを呼びかけチームの相互理解に努めました。これらのことでよりスムーズなやり取りを行うことができるようになりました。
既存のチームに対するチーム再構築
[直面した問題点、苦労した点]
前任のPOは英語が堪能で、事業部の在籍期間や経験も長い方でした。また、チームを0から作り上げた担当者でもあったためチームとの連携や信頼はかなり構築されていました。そこに新人である私が突然引き継ぐことになり、チームの混乱を招いておりました。経験やスキルに関しても明確な差があり、チームの協力なしでは埋められないものがあり新たなチームの再構築が必要な状況でした。
[対処法]
1つ目は、オープンに自分を見せること。明らかな知識やスキル不足がある中、下手に今までのPOと同じようなやり方で業務を続行しようとするとかえって時間がかかってしまうことに気づき、そこからは、チームにわからないことは事前に明確に伝え、引き継ぎでは把握できなかった点に関しては直接開発メンバーを頼ることにしました。そうすることで開発メンバーが徐々に私の状態を理解してくれるようになり、相互がスムーズにやり取りすることができるようになしました。
2つ目に意識したことは、業務以外のコミュニケーションを増やすこと。PO業務を行うようになってから、一緒にチームとして仕事するうえで相手がどんな性格でどんな考え方なのかをある程度理解できている方がとても重要であると感じ始めました。私のチームではSMが考えてくれたEnglish timeという英語に慣れるための時間枠を週一で設け、その週に合わせて決められたテーマに関して議論したり、ゲームをする時間があり、これにより、チームの親密度や、ベトナム英語に対するスキルも徐々に向上していきました。加えて、互いを知ることで心のハードルが下がり業務上でも気軽にコミュニケーションが取れるようなりました。
まとめ
アジャイル開発におけるスクラムを今回どんなものなのかを学ぶことができたので、スクラムの基本通りプロジェクトを遂行していくことを意識し、今後も進めたいと考えております。ただイベントでの自分の業務を振りかえるとPOの役割を十分に満たせていない部分が多々あったのでまだまだ努力途中ですが、常に様々な人の立場を視野に入れて、そのうえでチームを動かし最大の成果を出し続けられるPOになりたいと考えております。